6/19、ボルベンをテーマとした勉強会がありましたので、内容を簡単にご紹介します。
集中治療領域での使用をもとに行われたRCTでは、ボルベンはRRT(腎代替療法)、AKIのリスクを上げるとして、欧州で2013年に一度販売停止になっていたそうです(知らなかった!)。ただ、研究の条件などをみると、循環動態安定後にHESと対照群の割り付けを行ったなど、一概にボルベンは使えない!とは言えなさそうな結果です。
最近の研究では、(出典は省略させていただきます……多すぎて)
・予定の腹部手術の患者で、膠質液は晶質液よりも死亡率や合併症が少なかった。
・待機の小手術で、ボルベンと5%アルブミンの使用を比較したところ、術後の血清シスタチンC、eGFRの値に有意差はみられなかった。
・小児の心臓手術で、アルブミン+HESとアルブミン+晶質液を比較した研究では、HESを使用した群の方が出血、輸血量が少なく、RRTや死亡率に差はみられなかった。
・ICUの非敗血症患者で、HESと晶質液を比較した試験では、死亡率、RRT、出血、輸血量に有意差はみられなかった。
・ICUの重症敗血症、敗血症性ショック患者の腎機能障害のリスクファクターについて調べた研究では、男性、SAPSⅡ(Simplified Acute Physiology Score)、外科手術後、改善しないSOFAスコアなどがリスクファクターとして挙げられ、膠質液の使用についてはリスクファクターとはならなかった。
・術中/術後のHESの使用は術後腎機能を悪化させなかったが、周術期の出血は増加した。
・マウスの組織を使った研究では、グリコカリックスを破壊したり、血管透過性を亢進することはなかった。
……などなど、HESの害を主張したものは少ないようです。
しかし、この流れの中で、2018年1月に欧州では再度ボルベン販売停止となってしまいました。理由としては、以前のRCTを根拠として、「敗血症などの重症患者でRRTや死亡率が増えるから使用制限をかけたのに、守られていないため、全患者で使用禁止としました!」ということらしいです。
出席していた上級医の先生からは、「確かにICUでの有効な使い道はなさそうだけど、他科の先生はなんとなく使ってしまっているかもしれない」「ope室で、出血が多く輸血が追い付かない場合などに一時的に使用する分には有用だろう」など、感想があがりました。
舟漕ぎのプロがいなくなってから、皆さんとっても真面目に勉強会に参加しているように思います。正直メモとるのに必死で周りのことはあまりみえていませんが。
次回の勉強会も楽しみにしています。