最近の論文で、吸入麻酔(セボ) vs プロポで吸入麻酔の方が術後MMSEや死亡率の結果が良いとの報告がありました。
以前から、心臓手術麻酔では死亡率や呼吸器合併症に関して、セボ群の方が予後がよいとの結果がありましたが、非心臓手術に関しては有意差なし、だったので上記論文のインパクトの強さがわかります。
他にも、DES vs SEVではSEVが良い、TIVA vs 吸入麻酔では吸入麻酔の方がAKIのリスクが少ないなどの報告がされています。
全体の流れとしては吸入麻酔(特にセボ)に比べプロポの立場が悪くなっています。
プロポフォールが予後を悪化させる要因として、ミトコンドリアを含むエネルギー代謝関連の障害が指摘されています。(プロフォール・インフュージョン・シンドローム:PISもその仲間です)
原因をザックリまとめますと、プロポがミトコンドリアの脂質2重膜に干渉し、ミトコンドリアをアポトーシに追いやります。それにより、電子伝達系を阻害しエネルギー産生ができなくなること、また、他にもプロポがβ酸化を抑制し、脂質代謝を停滞させること、などの要因により細胞毒性が指摘されているとのことでした。
因みに、好気性代謝を行うミトコンドリアさんが死んでしまうので、エネルギー代謝の中間産物であるピルビン酸は嫌気性代謝され、乳酸が蓄積します。蓄積した乳酸、脂肪酸などが悪さをすることで、PISも起こるようです。
嫌気性代謝が起こりやすい、つまり虚血になりやすい臓器、人工心肺を使った手術では予後に影響を与えるのかもしれない。
今回の勉強会は化学式が多く出現し、集中し続けるのに努力が必要でしたが、とても勉強になりました。
赤嶺