2019年2月25日月曜日

新見先生勉強会(2/22)

本日も新見先生レクチャーです。
寒冷凝集素症と人工心肺です。
寒冷凝集素症は寒冷刺激で赤血球抗原に対する自己抗体(一般的にはIgM)が活性され臨界温度以下になると赤血球凝集反応が起こり臓器虚血や高速を伴う血管閉塞が起こります。凝結した赤血球が全身にめぐると補体が活性化し溶血が起こります。
そのため胆石が形成されたり、貧血が持続します。
心臓手術前のスクリーニング検査では0.8-4.0%で認識されと言われており、術前に血液内科に相談し、抗体の種類、抗体価、臨界温度を特定する必要があります。
無症候性の場合は低体温と冷却したカルジオプレジアを避け、術前に凝集素価と温度閾値を測定します。
症候性の場合は凝集素価を下げる処置(血漿交換)などを行います。
人工心肺においては
①出口温の測定を測定
②送血温度は37℃以下
③冷却中の人工肺の入り口と出口の温度差を10℃以下にする(ガス塞栓を防止)
④肺動脈温と咽頭温は離脱時に適当である
上記が推奨されているようです。

話は変わりますが当院麻酔科では朝に勉強会を行っております。週1回研修医勉強会と評して主に後期研修医1年目が講師としてミニレクチャーを行っております。
初期研修医は学年が近い先生に教えてもらえるため質問しやすいですし、教える側は改めて勉強になっているのではないでしょうか?
最近は呼吸器関連の話が多いですが今後はテーマをどのようにアレンジしていくのでしょうか。楽しみです。

レクチャーの一コマ
それでは今日はここまでとさせていただきます。
おしまい

近藤

2019年2月22日金曜日

新見先生 勉強会(2/20)

今回も新見先生のミニレクチャーです。
今回は糖尿病足感染症についてです。当院では循環器内科と形成外科が足感染症(Diabetic Foot Infections)、重症下肢虚血の診療を積極的に行っております。
治療には時間を要するため患者さんも大変ですが足感染症の放置は予後不良のためしっかりとした治療が望まれます。
今回はやや以前のものになりますが2012年にガイドラインが出ております。
管理人はやや遅れて講義に参加したため治療からのお話となります。
治療はやはり感染症治療がメインになります。

まず軽症、中等症の場合は好気性のGPCカバーで十分と考えられております。
重症例、慢性経過例は嫌気性菌、緑膿菌を考慮にいれます。

<考えるべきポイント>
1) 感染はあるのか? ・・・臨床的に感染を疑わない創部には抗菌薬を使わない
2) 感染が疑われる場合は以下を考慮する:
a) MRSAのリスクが高いか?
Yes・・・MRSAカバー
b) 一ヶ月以内に抗菌薬投与歴があるか?
Yes・・・腸内細菌群のカバーを加える   No・・・GPCのみカバー
c) 緑膿菌のリスクはあるか?
Yes・・・緑膿菌カバーを加える
d) 重症度は?   後述の重症度に沿ったレジメンを選択する


<緑膿菌に関して>
・ 緑膿菌の関与は意外と少ない(大半はnonpathogenic colonizer)
・ 欧米で緑膿菌が検出されるのは10%以下
・ たとえ検出されてもカバーせずに改善することが多い
・一方で以下の様な場合にはカバーを要する
  - 緑膿菌が頻回に検出される国 (南米、インド)
  - 足を水にひたしたことがある
  - 緑膿菌非カバーで失敗した症例
  - 重症例

<偏性嫌気性菌に関して>
・ 多くの慢性で過去に治療歴のある症例、あるいは重症例で分離される
・ 以前考えられていたよりもcommonなようだ
・ 大半の軽症・中等症では主要な病原菌ではない
・ 十分にデブリされたDFIで嫌気カバーの必要性についてのエビデンスは乏しい

<重症度に沿った経験的治療薬の選択>
●・・・第一選択(太字)
・軽症例
MSSAカバー
 ● CEX      ・・・ 安価
 ● AMPC/CVA ・・・ 比較的broad、嫌気カバー
 ・ MPIPC     ・・・ 安価、カバー狭い
 ・ CLDM     ・・・ CA-MRSAに有効な場合もある、EM感受性のチェックとD-test、毒素産生抑制
 ・ LVFX      ・・・ S. aureusにはsub optimal
MRSAカバー
 ・ DOXY     ・・・ 連鎖球菌活性に不安
 ・ TMP/SMX   ・・・ 同上
・中等症~重症例
MSSAカバー
 ● AMPC/SBT ・・・ 緑膿菌のリスクが高くなければ十分
 ● Ertapenem  ・・・ 広め、緑膿菌以外
 ● IPM/CS    ・・・ 超広域、必要な場合のみ、ESBL producerが考慮される場合
 ・ Tigecycline  ・・・ MRSAに有効、超広域、嘔気・嘔吐、死亡例の注意喚起、Ertapenem+VCMに劣る
 ・ LVFX+CLDM ・・・ S. aureusの重症例に対するCLDMのエビデンス少ない
MRSAカバー
 ● VCM      ・・・ MIC高いことがある
 ・ DAP      ・・・ CKモニタリング
 ・ LZD      ・・・ 高価、2週以上で骨髄抑制
緑膿菌カバー
 ● PIPC/TAZ  ・・・ 緑膿菌は特殊な状況を除いてuncommon pathogen
<治療期間>
 ・重症度に基づいて判断
 ・骨への進展がなく、治療への反応が良好な場合:一般的には1-2週間で十分
 ・決められた期間の投与を行うのではなく、感染の臨床的兆候が消失すれば終了可能
 ・創の治癒まで続けることを支持するエビデンスはない

<抗菌薬の投与経路、入院の必要性、投与期間の目安>
○ 軟部組織感染のみ
 ・軽症    局所 or 経口            外来     1-2週、長くて4週
 ・中等症   経口 or 最初は経静脈        外来/入院   1-3週
 ・重症    経静脈、可能ならば経口スイッチ   入院     2-4週
○ 骨髄炎・関節炎合併
 ・感染組織の残存なし     経静脈 or 経口・・・      2-5日
 ・軟部組織感染残存      経静脈 or 経口・・・      1-3週
 ・骨髄炎残存(腐骨化なし)  経静脈、経口スイッチ考慮   ・・・4-6週
 ・手術(-)or腐骨(+)      経静脈、経口スイッチ考慮   ・・・3ヶ月以上

<糖尿病性足骨髄炎(DFO)合併の診断>
<DFOを疑う所見>
・ 十分な血流がある患側で、適切な創ケア、除圧を行っているにもかかわらず潰瘍が6週間以上治らない場合
・ 骨の露出がある場合
・ 2cm以上の潰瘍面積
・ 3mm以上の深掘れ潰瘍
・ 過去のDM footの既往歴
・ 再発性or多発の潰瘍
・ 緊満した足趾(sausage toe)
<ゾンデ試験>
滅菌ゾンデで潰瘍面がどこまで深いかを探る→骨にあたれば骨髄炎合併を疑う。
<画像評価>
・単純Xp
 - 明らかな骨の異常(変性、溶解)の検索
 - 軟部組織のガス産生、体内異物の有無の確認
・MRI:軟部組織の膿瘍が想定される場合、骨髄炎の可能性がはっきりしない場合に推奨
  感度 90%、特異度 79%
  創が骨へ到達していたり、単純Xpで骨浸潤が明らかな場合は診断目的では不要
・MRIが不可能な場合:骨シンチと白血球シンチの組み合わせを考慮(診断精度80-85%)

手術室やERで活動する当院麻酔科では早期の外科的介入が必要かどうかを見極めることが大切になると思います。いち早く専門家へつなげる必要があります。

以下は外科治療を考慮する状況です。
  1. DFOによると思われるSepsis syndromeが持続する場合
  2.  適切な抗菌薬加療を行うことが困難な場合
  3. 適切な治療に関わらず骨の荒廃が進行する場合
  4. 足機能が回復不可能なほど骨破壊が進行している場合
  5. 患者が長期の抗菌薬治療を好まず、創治癒を急いでいる場合
  6. 軟部組織創部のコントロールを良好にするため、あるいは一次閉鎖を目指す場合
  7.  長期の抗菌薬加療は避けたほうが良いor効果的でないと考えられる場合(腎機能障害の存在など)
少し雑多な内容になりましたが最後まで読んでいただきありがとうございます。
以上 管理人からでした。

次回は寒冷凝集素症と人工心肺でお送り致します。

おしまい

2019年2月14日木曜日

新見先生 勉強会(2/13)

本日は新見先生によるミニレクチャーがありましたので概略をご紹介します。
抗菌薬の光と影というテーマでお話頂きました。
20世紀になり中ごろまでの世界の平均寿命が30歳前後でありましたが現在では2倍以上になっており皆さんもお分かりの通り抗菌薬の登場によるものです。
戦後あたりよりペニシリンの産生が爆発的に増え、その後ストレプトマイシンが出現し結核が激減しました。
しかしながら結核の根絶には至っておらず、平成27年の日本でも1万8千人の罹患者がいると言われております。

抗菌薬の登場により人類は恩恵を受けましたが、現在含め大きな問題になっているのは耐性菌の登場です。
薬剤耐性(AMR)感染症による世界の死亡者は毎年70万人に上っており、このまま何も対策を取らないと2050年には年間1000万人の死亡が想定され、現在のがんの死亡者数を超えると言われております。
英国政府の要請により調査チームを率いた経済学者ジム・オニールによる「オニールレポート」(2014年)の推計は世界に衝撃を与えました。
このレポートで示されたアジア圏の死亡者は473万人とどの地域よりも死者が多いようです。

抗菌薬の耐性化は早くペニシリンは2年、バンコマイシンは6年、イミペネムは3年、ダプトマイシンは1年と非常に早いのです。

また抗菌薬の使用により腸内細菌が攪乱されている可能性も指摘されています。
腸内細菌の攪乱により心筋梗塞、脳卒中、認知症、がん、便秘、下痢、クローン病、潰瘍性大腸炎、うつ病、アトピー、喘息、食物アレルギーが引き起こされていると言われております。

腸内細菌には免疫抑制作用の保持の役割があり、それが抗菌薬により阻害されているようです。

また家畜には感染症予防、成長促進の作用を期待して人間より多くの抗菌薬が使用されております。食物連鎖によりその肉を食べた人間の腸内に耐性菌が常在するようになると考えられております。

そのためスウェーデンでは1986年に、EUでは2006年に成長促進目的での抗菌薬の使用は禁止されました。
まだ日本では禁止されていないようです。

このように人類に恩恵をもたらした抗菌薬ですが、耐性化という大きな問題に直面しております。
麻酔科医として手術室での抗菌薬適正使用での貢献はなかなか難しいと思いますが、徹底した手指消毒と感染予防により患者へ危害を加えない様日々意識することはとても大切かと思います。

現在麻酔科をローテートしている先生方も今回は日常診療に密接にかかわることであったっためか日々の勉強会より熱心に耳を傾けていたような気がします。。。

おしまい

近藤

2019年2月9日土曜日

畑中先生 送別会

こんばんは。
昨日元当院副院長も畑中先生の行徳総合病院院長就任記念の会が開催されました。
当日は池袋のホテルの宴会場をお借りして大いに盛り上がりました。
当日の受付担当の美女たちでございます。
畑中院長の等身大パネルです。ゴットファザー日本版です。
畑中院長with ope室看護師と麻酔科の面々です。
畑中先生の手術室でのお姿を見ることができないのは非常に残念です。
畑中先生の主戦場である手術室ではもちろんのこと救急外来でも我々が診断に苦慮している腹痛の患者さんを見るやいなや的確な診断とともに「外科で入院にしようと」即決されていてとても頼りにしていました。
当院だけでなく他院の板橋中央出身の方々が参加されました。最後に写真をぱちり。
二次会では飲みすぎたせいか筆者は朝起きて家に居ることに気が付きました。。

畑中院長がいなくなってしまい大変寂しい限りですが今後も畑中先生が誇れる手術室をみんなで作り上げていくことができればと思います。

畑中院長14年間お疲れさまでした。
大変お世話になりました。今後のますますのご活躍をお祈りしております。

近藤

2019年2月6日水曜日

川崎幸病院

当院の研修プログラムでは心臓麻酔分野で川崎幸病院に研修に行かせて頂いております。
川崎幸病院では心臓麻酔分野の特に大血管を中心としたハイボリュームセンターとして日本の病院の中で先頭を走っております。
更には4月より開心術、カテーテル治療を今後増やしていく方針のようで麻酔科医の研修としてはこの上ない環境になりそうです。
現在は当院麻酔科医の神門先生が研修されておりますが、今年の4月からは筆者が10月からは当院麻酔科医の林先生が研修に行く予定となっております。
本日は幸病院の麻酔科部長の高山先生にお会いして美味しいお酒と串揚げを頬張りながら幸病院のお話をお伺いしました。
先ほども述べたように開心術の増加とカテーテル治療(TAVIなど)が始まり、麻酔科医としいては充実した環境ではないかと感じました。
心臓麻酔だけでなく外科症例は増えているようでここ数年で2000件ほど手術件数が増加しているようです。
当院は上級医のほぼ全員が経食道心エコーの資格を保持しており、普段より指導頂いておりますが、その教えをもとにエコーのスキルはもちろんのこと心臓麻酔の基礎から応用まで学ぶことができると確信しております。
半年間と短い期間ですがいまから幸病院で働くことが楽しみになりました。
せっかくの機会なので写真を撮影して本日のブログに掲載しようと思ったのですが写真を撮り忘れるという失態を犯しました。。
ここ最近文章ばかりで面白くない記事となり申し訳ないです。
また更新しますので是非閲覧下さい。

近藤

2019年2月3日日曜日

TTIセミナー

皆様ご無沙汰しております。
2019年初めての更新になります。本年も宜しくお願い申し上げます。
今回は2月2日に開催されたTTIセミナーに関しての報告です。
TTIセミナー?名前だけ聞くとどこかのIT系のセミナーのような気もしますが...
TTIとは東京大学・帝京大学・板橋中央総合病院の略でして、それぞれの大学の教授と新見院長が若手医師を1〜2名連れて集まって、意見交換をする場として今年で9回目を迎えたようで。各施設より症例を1例ずつ持ち寄り発表し意見を頂戴します。
今回は我々の施設からは後期研修医1年の平田先生が発表しました。
演題は「大動脈バルーン閉塞下の転院を要した遺残胎盤の一例」でした。
帝京大学さんからは「当院のMitral clip症例のまとめ」
東京大学さんからは「脳死左肺移植後の吻合部気管支肺動脈瘻に対して開胸下肺動脈人工血管置換術をした一例」
と各施設の特色がある発表となりました。
当院の平田先生は「緊張するということは自分をより良く見せようとしていることじゃないですか!私はそうは思わないので。。」と緊張しないタイプのようで堂々発表されておりました。子宮温存に関して患者の生命と子宮温存のどちらを優先するんだと厳しい質問も投げかけられておりました。。(なかなか答えはなさそう)
帝京大学さんではMitral clipに加え、TAVIと積極的にカテーテル治療をされているようです。Mitralclip後の患者の自覚症状の改善について質問すれば良かったとブログを書いて思いました。
各施設の発表を聞いたのち懇親会があり、和気あいあいとした雰囲気で楽しく過ごさせて頂きました。
筆者は食べてばかりでしたが発表した平田先生は他施設の方からも意見をもらっているようで勉強になったんではないでしょうか?
偉そうなこと言ってすみません。
それでは今回はこの辺で。今後もゆるく更新できればと思いますので宜しくお願いします。

近藤