2019年2月22日金曜日

新見先生 勉強会(2/20)

今回も新見先生のミニレクチャーです。
今回は糖尿病足感染症についてです。当院では循環器内科と形成外科が足感染症(Diabetic Foot Infections)、重症下肢虚血の診療を積極的に行っております。
治療には時間を要するため患者さんも大変ですが足感染症の放置は予後不良のためしっかりとした治療が望まれます。
今回はやや以前のものになりますが2012年にガイドラインが出ております。
管理人はやや遅れて講義に参加したため治療からのお話となります。
治療はやはり感染症治療がメインになります。

まず軽症、中等症の場合は好気性のGPCカバーで十分と考えられております。
重症例、慢性経過例は嫌気性菌、緑膿菌を考慮にいれます。

<考えるべきポイント>
1) 感染はあるのか? ・・・臨床的に感染を疑わない創部には抗菌薬を使わない
2) 感染が疑われる場合は以下を考慮する:
a) MRSAのリスクが高いか?
Yes・・・MRSAカバー
b) 一ヶ月以内に抗菌薬投与歴があるか?
Yes・・・腸内細菌群のカバーを加える   No・・・GPCのみカバー
c) 緑膿菌のリスクはあるか?
Yes・・・緑膿菌カバーを加える
d) 重症度は?   後述の重症度に沿ったレジメンを選択する


<緑膿菌に関して>
・ 緑膿菌の関与は意外と少ない(大半はnonpathogenic colonizer)
・ 欧米で緑膿菌が検出されるのは10%以下
・ たとえ検出されてもカバーせずに改善することが多い
・一方で以下の様な場合にはカバーを要する
  - 緑膿菌が頻回に検出される国 (南米、インド)
  - 足を水にひたしたことがある
  - 緑膿菌非カバーで失敗した症例
  - 重症例

<偏性嫌気性菌に関して>
・ 多くの慢性で過去に治療歴のある症例、あるいは重症例で分離される
・ 以前考えられていたよりもcommonなようだ
・ 大半の軽症・中等症では主要な病原菌ではない
・ 十分にデブリされたDFIで嫌気カバーの必要性についてのエビデンスは乏しい

<重症度に沿った経験的治療薬の選択>
●・・・第一選択(太字)
・軽症例
MSSAカバー
 ● CEX      ・・・ 安価
 ● AMPC/CVA ・・・ 比較的broad、嫌気カバー
 ・ MPIPC     ・・・ 安価、カバー狭い
 ・ CLDM     ・・・ CA-MRSAに有効な場合もある、EM感受性のチェックとD-test、毒素産生抑制
 ・ LVFX      ・・・ S. aureusにはsub optimal
MRSAカバー
 ・ DOXY     ・・・ 連鎖球菌活性に不安
 ・ TMP/SMX   ・・・ 同上
・中等症~重症例
MSSAカバー
 ● AMPC/SBT ・・・ 緑膿菌のリスクが高くなければ十分
 ● Ertapenem  ・・・ 広め、緑膿菌以外
 ● IPM/CS    ・・・ 超広域、必要な場合のみ、ESBL producerが考慮される場合
 ・ Tigecycline  ・・・ MRSAに有効、超広域、嘔気・嘔吐、死亡例の注意喚起、Ertapenem+VCMに劣る
 ・ LVFX+CLDM ・・・ S. aureusの重症例に対するCLDMのエビデンス少ない
MRSAカバー
 ● VCM      ・・・ MIC高いことがある
 ・ DAP      ・・・ CKモニタリング
 ・ LZD      ・・・ 高価、2週以上で骨髄抑制
緑膿菌カバー
 ● PIPC/TAZ  ・・・ 緑膿菌は特殊な状況を除いてuncommon pathogen
<治療期間>
 ・重症度に基づいて判断
 ・骨への進展がなく、治療への反応が良好な場合:一般的には1-2週間で十分
 ・決められた期間の投与を行うのではなく、感染の臨床的兆候が消失すれば終了可能
 ・創の治癒まで続けることを支持するエビデンスはない

<抗菌薬の投与経路、入院の必要性、投与期間の目安>
○ 軟部組織感染のみ
 ・軽症    局所 or 経口            外来     1-2週、長くて4週
 ・中等症   経口 or 最初は経静脈        外来/入院   1-3週
 ・重症    経静脈、可能ならば経口スイッチ   入院     2-4週
○ 骨髄炎・関節炎合併
 ・感染組織の残存なし     経静脈 or 経口・・・      2-5日
 ・軟部組織感染残存      経静脈 or 経口・・・      1-3週
 ・骨髄炎残存(腐骨化なし)  経静脈、経口スイッチ考慮   ・・・4-6週
 ・手術(-)or腐骨(+)      経静脈、経口スイッチ考慮   ・・・3ヶ月以上

<糖尿病性足骨髄炎(DFO)合併の診断>
<DFOを疑う所見>
・ 十分な血流がある患側で、適切な創ケア、除圧を行っているにもかかわらず潰瘍が6週間以上治らない場合
・ 骨の露出がある場合
・ 2cm以上の潰瘍面積
・ 3mm以上の深掘れ潰瘍
・ 過去のDM footの既往歴
・ 再発性or多発の潰瘍
・ 緊満した足趾(sausage toe)
<ゾンデ試験>
滅菌ゾンデで潰瘍面がどこまで深いかを探る→骨にあたれば骨髄炎合併を疑う。
<画像評価>
・単純Xp
 - 明らかな骨の異常(変性、溶解)の検索
 - 軟部組織のガス産生、体内異物の有無の確認
・MRI:軟部組織の膿瘍が想定される場合、骨髄炎の可能性がはっきりしない場合に推奨
  感度 90%、特異度 79%
  創が骨へ到達していたり、単純Xpで骨浸潤が明らかな場合は診断目的では不要
・MRIが不可能な場合:骨シンチと白血球シンチの組み合わせを考慮(診断精度80-85%)

手術室やERで活動する当院麻酔科では早期の外科的介入が必要かどうかを見極めることが大切になると思います。いち早く専門家へつなげる必要があります。

以下は外科治療を考慮する状況です。
  1. DFOによると思われるSepsis syndromeが持続する場合
  2.  適切な抗菌薬加療を行うことが困難な場合
  3. 適切な治療に関わらず骨の荒廃が進行する場合
  4. 足機能が回復不可能なほど骨破壊が進行している場合
  5. 患者が長期の抗菌薬治療を好まず、創治癒を急いでいる場合
  6. 軟部組織創部のコントロールを良好にするため、あるいは一次閉鎖を目指す場合
  7.  長期の抗菌薬加療は避けたほうが良いor効果的でないと考えられる場合(腎機能障害の存在など)
少し雑多な内容になりましたが最後まで読んでいただきありがとうございます。
以上 管理人からでした。

次回は寒冷凝集素症と人工心肺でお送り致します。

おしまい

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