2019年2月14日木曜日

新見先生 勉強会(2/13)

本日は新見先生によるミニレクチャーがありましたので概略をご紹介します。
抗菌薬の光と影というテーマでお話頂きました。
20世紀になり中ごろまでの世界の平均寿命が30歳前後でありましたが現在では2倍以上になっており皆さんもお分かりの通り抗菌薬の登場によるものです。
戦後あたりよりペニシリンの産生が爆発的に増え、その後ストレプトマイシンが出現し結核が激減しました。
しかしながら結核の根絶には至っておらず、平成27年の日本でも1万8千人の罹患者がいると言われております。

抗菌薬の登場により人類は恩恵を受けましたが、現在含め大きな問題になっているのは耐性菌の登場です。
薬剤耐性(AMR)感染症による世界の死亡者は毎年70万人に上っており、このまま何も対策を取らないと2050年には年間1000万人の死亡が想定され、現在のがんの死亡者数を超えると言われております。
英国政府の要請により調査チームを率いた経済学者ジム・オニールによる「オニールレポート」(2014年)の推計は世界に衝撃を与えました。
このレポートで示されたアジア圏の死亡者は473万人とどの地域よりも死者が多いようです。

抗菌薬の耐性化は早くペニシリンは2年、バンコマイシンは6年、イミペネムは3年、ダプトマイシンは1年と非常に早いのです。

また抗菌薬の使用により腸内細菌が攪乱されている可能性も指摘されています。
腸内細菌の攪乱により心筋梗塞、脳卒中、認知症、がん、便秘、下痢、クローン病、潰瘍性大腸炎、うつ病、アトピー、喘息、食物アレルギーが引き起こされていると言われております。

腸内細菌には免疫抑制作用の保持の役割があり、それが抗菌薬により阻害されているようです。

また家畜には感染症予防、成長促進の作用を期待して人間より多くの抗菌薬が使用されております。食物連鎖によりその肉を食べた人間の腸内に耐性菌が常在するようになると考えられております。

そのためスウェーデンでは1986年に、EUでは2006年に成長促進目的での抗菌薬の使用は禁止されました。
まだ日本では禁止されていないようです。

このように人類に恩恵をもたらした抗菌薬ですが、耐性化という大きな問題に直面しております。
麻酔科医として手術室での抗菌薬適正使用での貢献はなかなか難しいと思いますが、徹底した手指消毒と感染予防により患者へ危害を加えない様日々意識することはとても大切かと思います。

現在麻酔科をローテートしている先生方も今回は日常診療に密接にかかわることであったっためか日々の勉強会より熱心に耳を傾けていたような気がします。。。

おしまい

近藤

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