2018年1月25日木曜日

1/24新見先生 勉強会

本日はA and Aの症例報告です。

症例1
 79歳 重症AS 、心不全、心房細動、肥満、OSASの既往あり。
AVR、MAZEが行われたが、術後に肺炎など起こり呼吸不全で挿管、抜管を繰り返し術後14日目に全身麻酔下での気管切開術が行われた。
プロポ、ロクロで導入し、FiO2:0.4、セボ1.5%で維持していた。手術開始、気管を切開する段階まできたところで、酸素100%で酸素化を行いFiO2:0.4に戻した。その後、気管を切開し止血のため電気メスを使用した時に3cm程度の炎が上がった。生食ですぐに鎮火し気管洗浄を行い、7mmの気切チューブを挿入した。気管支ファイバーで確認したところ右上葉、中葉を中心に粘膜の焼けただれ、炭化がみられた。ICU帰室後、ヘパリン吸入、Nアセチルシステイン、抗生剤などを使用し、気管支ファイバーで観察、洗浄を毎日行った。(術直後、3日目、6日目、12日目の気管支ファイバーの画像:膿性分泌物、炭化、内膜炎症から徐々に粘膜萎縮像に変化)
心臓手術術後、肺炎後であり、心房細動や心不全の影響で血行動態安定せず、HITも併発し死亡した。

症例2
73歳 鼠径ヘルニア術を受ける患者の肺塞栓例、ADL自立
麻酔導入15分後に急にSpO2:82%、血圧73/44、脈44bpmに低下した。FiO2:1.0、肺リクルートメントを行い呼吸音確認したが異常なし。低血圧にフェニレフリンを使用したが血圧戻らず、結局エピネフリン10μg使用した。血圧157/71、SPO2:95%まで回復した。急変時、カプノグラムに異常はなかった。手術中止とし、ICUで胸部レントゲン、心エコー、12誘導心電図などの検査を行ったところ、心電図でSⅠQⅡTⅢ(右心負荷所見)を認めた、他の検査は異常なかった。その後のCT検査で右中葉下葉への肺動脈に血栓を認めた。
アメリカでは肺塞栓は年間30-60万人に起こりそのうち10万人が死亡する。WELLSのスコアリングで発生頻度を予測できる(本症例では発生率1.3%)。
肺塞栓では右心負荷所見が出現するが、心電図変化は11-52%に起こる。他にT波逆転、頻脈、SⅠQⅡTⅢがみられる。

雪が残る中、遅刻する人はいませんでした。最寄り駅が三田線で地下鉄のためか、結構雪に強い当院の出勤状態です。雪の中の出勤で緊張感があったのか、今回は船漕ぎ者いなかったと思います。

赤嶺














2018年1月18日木曜日

病院広報誌

1月の病院広報誌「プラザIMS」に麻酔科が紹介されました。

紙面の制限があるため広く浅い内容ですが、麻酔科の歴史や仕事、当院麻酔科の紹介などが載っています。
今回の記事のために麻酔の歴史を調べてみたのですが、今の全身麻酔が発見される前の手術はまさに拷問に近く、手術受ける側は痛みで失神するわ、手術する側は患者の叫び声がトラウマになるわで、まさに地獄絵図だったようです。当時の外科手術書に、手術のポイントとして「押さえつけて素早く行う」との記載があるようです、まさに力尽く、恐ろしい限りです。近年の外科手術の発展は、まさに麻酔の発展と切り離せないものだと思います。あまり表に出ることはない麻酔科ですが、知る人ぞ知る縁の下の仕事人としてこれからも頑張って行きます。










赤嶺



2018年1月11日木曜日

懇親会

昨日、川崎幸病院麻酔科の高山先生と4月から研修でお世話になる宮﨑先生、神門先生、そして新見先生の5人で懇親会を行いました。
専攻医が研修でお世話になるときには毎回顔合わせの意味も込めて開催しており、今回で5回目(正確には覚えていませんが)の懇親会になりました。毎回、神保町のお店を利用させて頂いており、店のマスターもそろそろ顔を覚えて頂けてるようでした。
高山先生から幸病院に関するお話しや、麻酔に関する熱い話、新見先生からの医局、プログラム運営の話し、毎回驚かされる新見先生の若かりし頃の麻酔に関して(水銀柱血圧計、SpO2はない、Aラインは心外麻酔で取り合い、エーテル麻酔をやっている施設もあった、もはや麻酔の歴史そのものを体験されています)など、とても盛り上がりました。
宮﨑先生、神門先生も目をキラキラさせて早く研修に行きたい雰囲気でした(言い過ぎ?)。
2人に続き、今後研修を行う先生も多数いるので、先に行く先輩の特に宮﨑先生が後輩の鏡になるような研修をしてもらえればと思います。

最後にみんなでパシャり
赤嶺



2018年1月10日水曜日

1/10新見先生 勉強会

本日は弓部置換術の脳送血に関する勉強会です。

順行性脳分離送血(ACP)は弓部置換術の初期から行われていたが、1960年代に一過性脳障害や予後が悪いとの報告がされ、一時衰退した。1975年には低体温循環停止(HCA)が報告され、広まった。HCAでは血管操作が少なくなる一方で時間制限がある。40分の停止で脳卒中の発生率、60分の停止で死亡率が上昇すると報告された。体温を下げていくと脳血流、脳代謝は徐々に低下していくが、22℃以下では脳血流量の低下よりも脳代謝の低下がより大きく起こるため、脳保護作用がある(αスタット管理)。
1990年代に逆行性脳還流(RCP)が報告された。脳保護時間は80分程度効果があるとされ、ACPとの比較でも死亡率7.9(RCP) vs 14(ACP)、脳卒中2.4 vs 6.5と良好な結果であった。RCPの特徴として、低体温中に行うことができる、手術操作が簡便になる、逆行性のため塞栓物質を除去できる、脳代謝のサポートができるなどの点がある。
1980年代にはACPが見直されてくる。(ACPの図表の説明)
心臓外科学会から、RCP +HCA vs ACPの予後に関する論文が発表された。
2009年〜2012年で弓部置換術を受けた16,218例を対象に行われた。
除外クライテリア、プロペンシティマッチングによりそれぞれ1,141例が分析対象となった。
結果は死亡率、脳卒中、心合併症などに有意差はなかった。有意差があったのはICU滞在期間で、ACP群の方が長かった。脊髄障害は両群とも3%前後あった。脳障害のリスク因子は術前の患者状態が重要であることがわかった。術中体温に関して、HCA/RCP群は20℃以下が9%、25℃以下が18%、ACP群は25℃以上が多かった。
(鎖骨下、腋窩送血の図表の説明)
脳組織酸素飽和度の使用に関しては、いくつかのレビューで有効性が低いとの結果が出ている。送血カニュラの位置異常は指摘できる可能性がある。脳組織酸素飽和度を用いたアルゴリズムはエビデンスレベルが低い。しかし、すでに多くの施設で使用されており、今後新しいRCTは出ることなく標準モニターとなっていくだろう。


本日の内容は専攻医1-2年目には難しかったかもしれません。実際、プロは船漕ぎ中?だったのか2回位、本を落としてました(笑)。早く内容について来れるよう頑張ってください。

赤嶺


2018年1月9日火曜日

1/9症例検討会

新年明けましておめでとうございます。新年初日の1/4から、ほぼ全力でオペ室が稼働して、大騒ぎの当院です。今年もよろしくお願いします。

本日は「帝王切開中のST変化」に関してです。
39歳女性、2回目のC/S。前回は胎児ジストレスで全麻カイザーとのこと。現在37w5d、C/S以外に既往なし。麻酔はCSEAで行い、手術開始前の麻酔レベルはTh4前後で冷感消失であった。麻酔直後は少し血圧下がったが、数回の昇圧剤で血圧は安定し手術開始となった。10-15分後に児は生まれ、その数分後に1回目のアトニン5Uを点滴静注(5分程度)したが、子宮収縮が不良で1回目終了から3分後に2回目のアトニン5Uを点滴投与した。2回目投与後、収縮期血圧70mmHg台、HR 93bpmとなったためネオシネジンで昇圧しすぐに90mmHg台となった。その10分後に再度血圧が70mmHg、HR102となりネオシネジンで昇圧を行ったが、嘔気を訴え、心電図上ST低下を認めた。胸痛はなかった。輸液負荷し昇圧することで5-10分後には嘔気、ST変化は改善した。その後手術は順調に終わった。術後も症状、ST変化なく順調に経過し退院となった。
帝王切開中のST変化は急激な循環動態の変動や子宮収縮薬の影響で起こる。
麻酔直後は仰臥位低血圧症候群、執刀後は出血による血圧低下で心筋酸素バランスが崩れやすい。それにはST低下を伴うことが多くST上昇は稀である。子宮収縮薬であるオキシトシン(アトニン)は血圧低下、心拍数上昇作用がある。早産や誘発中の患者さんではオキシトシンの感受性が低下するため過量投与に注意が必要である。ST低下の割合はオキシトシン5Uで7.7%、10Uで21%みられ、さらに投与2分後の血圧低下も10U群で有意に多かったとの報告がある。
また、ボーラス群(15秒で投与)、点滴静注群(5分以上)の比較では、ボーラス群で血圧低下、心拍上昇、ST低下が多かった。
他に、術中で使用されるものでメチルエルゴメトリンマレイン酸(パルタン)がある。
パルタンは冠攣縮誘発薬として使用されるもので、子宮収縮に第一選択で使用してはならない。使用中は常にST変化に注意しなければならない。
ST変化の対処法は、酸素投与、輸液、昇圧が基本である。
冠痙縮が疑われる場合、選択としてニトログリセリン、Caブロッカー、ニコランジルがある。ニトログリセリンは子宮弛緩作用、血圧低下作用が強いため使用は控える方が良い。
Caブロッカーは子宮弛緩作用が弱いとされており、使用することができるが血圧低下作用に注意が必要である。ニコランジルの子宮弛緩作用は不明であるが前述の2薬剤よりも血圧低下作用は弱いため比較的安全に使用できると思われる。

本日の発表は、年末にかなり暴れる君をやった向井先生でした。プレゼン数分前に配布資料の印刷をするなど、騒がしい部分もありましたが、ボスが到着する頃にはチャッカリ準備万端を装ってました。
年末年始に準備したと思いますがご苦労様でした。先生にとって、目が覚めるような成長がある1年になることを期待しています。

赤嶺