本日は「帝王切開中のST変化」に関してです。
39歳女性、2回目のC/S。前回は胎児ジストレスで全麻カイザーとのこと。現在37w5d、C/S以外に既往なし。麻酔はCSEAで行い、手術開始前の麻酔レベルはTh4前後で冷感消失であった。麻酔直後は少し血圧下がったが、数回の昇圧剤で血圧は安定し手術開始となった。10-15分後に児は生まれ、その数分後に1回目のアトニン5Uを点滴静注(5分程度)したが、子宮収縮が不良で1回目終了から3分後に2回目のアトニン5Uを点滴投与した。2回目投与後、収縮期血圧70mmHg台、HR 93bpmとなったためネオシネジンで昇圧しすぐに90mmHg台となった。その10分後に再度血圧が70mmHg、HR102となりネオシネジンで昇圧を行ったが、嘔気を訴え、心電図上ST低下を認めた。胸痛はなかった。輸液負荷し昇圧することで5-10分後には嘔気、ST変化は改善した。その後手術は順調に終わった。術後も症状、ST変化なく順調に経過し退院となった。
帝王切開中のST変化は急激な循環動態の変動や子宮収縮薬の影響で起こる。
麻酔直後は仰臥位低血圧症候群、執刀後は出血による血圧低下で心筋酸素バランスが崩れやすい。それにはST低下を伴うことが多くST上昇は稀である。子宮収縮薬であるオキシトシン(アトニン)は血圧低下、心拍数上昇作用がある。早産や誘発中の患者さんではオキシトシンの感受性が低下するため過量投与に注意が必要である。ST低下の割合はオキシトシン5Uで7.7%、10Uで21%みられ、さらに投与2分後の血圧低下も10U群で有意に多かったとの報告がある。
また、ボーラス群(15秒で投与)、点滴静注群(5分以上)の比較では、ボーラス群で血圧低下、心拍上昇、ST低下が多かった。
他に、術中で使用されるものでメチルエルゴメトリンマレイン酸(パルタン)がある。
パルタンは冠攣縮誘発薬として使用されるもので、子宮収縮に第一選択で使用してはならない。使用中は常にST変化に注意しなければならない。
ST変化の対処法は、酸素投与、輸液、昇圧が基本である。
冠痙縮が疑われる場合、選択としてニトログリセリン、Caブロッカー、ニコランジルがある。ニトログリセリンは子宮弛緩作用、血圧低下作用が強いため使用は控える方が良い。
Caブロッカーは子宮弛緩作用が弱いとされており、使用することができるが血圧低下作用に注意が必要である。ニコランジルの子宮弛緩作用は不明であるが前述の2薬剤よりも血圧低下作用は弱いため比較的安全に使用できると思われる。
本日の発表は、年末にかなり暴れる君をやった向井先生でした。プレゼン数分前に配布資料の印刷をするなど、騒がしい部分もありましたが、ボスが到着する頃にはチャッカリ準備万端を装ってました。
年末年始に準備したと思いますがご苦労様でした。先生にとって、目が覚めるような成長がある1年になることを期待しています。
赤嶺
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