順行性脳分離送血(ACP)は弓部置換術の初期から行われていたが、1960年代に一過性脳障害や予後が悪いとの報告がされ、一時衰退した。1975年には低体温循環停止(HCA)が報告され、広まった。HCAでは血管操作が少なくなる一方で時間制限がある。40分の停止で脳卒中の発生率、60分の停止で死亡率が上昇すると報告された。体温を下げていくと脳血流、脳代謝は徐々に低下していくが、22℃以下では脳血流量の低下よりも脳代謝の低下がより大きく起こるため、脳保護作用がある(αスタット管理)。
1990年代に逆行性脳還流(RCP)が報告された。脳保護時間は80分程度効果があるとされ、ACPとの比較でも死亡率7.9(RCP) vs 14(ACP)、脳卒中2.4 vs 6.5と良好な結果であった。RCPの特徴として、低体温中に行うことができる、手術操作が簡便になる、逆行性のため塞栓物質を除去できる、脳代謝のサポートができるなどの点がある。
1980年代にはACPが見直されてくる。(ACPの図表の説明)
心臓外科学会から、RCP +HCA vs ACPの予後に関する論文が発表された。
2009年〜2012年で弓部置換術を受けた16,218例を対象に行われた。
除外クライテリア、プロペンシティマッチングによりそれぞれ1,141例が分析対象となった。
結果は死亡率、脳卒中、心合併症などに有意差はなかった。有意差があったのはICU滞在期間で、ACP群の方が長かった。脊髄障害は両群とも3%前後あった。脳障害のリスク因子は術前の患者状態が重要であることがわかった。術中体温に関して、HCA/RCP群は20℃以下が9%、25℃以下が18%、ACP群は25℃以上が多かった。
(鎖骨下、腋窩送血の図表の説明)
脳組織酸素飽和度の使用に関しては、いくつかのレビューで有効性が低いとの結果が出ている。送血カニュラの位置異常は指摘できる可能性がある。脳組織酸素飽和度を用いたアルゴリズムはエビデンスレベルが低い。しかし、すでに多くの施設で使用されており、今後新しいRCTは出ることなく標準モニターとなっていくだろう。
本日の内容は専攻医1-2年目には難しかったかもしれません。実際、プロは船漕ぎ中?だったのか2回位、本を落としてました(笑)。早く内容について来れるよう頑張ってください。
赤嶺
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